季節は梅雨に入り気分もジメジメになりがち
おはようございます!しろわっさんです。
今回は解剖学で筋肉によく使われるてこについて話していきます。
てこと聞くと物理の勉強でよくやったなぁ、という印象なんじゃないですかね。実はこれが人体でも大きく関わってきます!
人の体のなかでは、てこは関節と筋肉の収縮力、腕や脚などの重さと重力を加えた重心の3つの要素から成り立っていています。
人体のてこを正しく理解して筋肉への理解を深めましょう!!
筋肉とは
まず、筋肉とはどのようなものなのか説明します。
まとめると、
筋肉とは骨と骨で構成される関節をまたいで付着し、関節を曲げ伸ばしするものです。
随意筋とは自分の意志で動かせる筋肉のことです。
反対に動かせない筋を不随筋といいます。(心臓や胃など)
そして体の中心に近いほうを起始、遠いほうを停止といいます。
筋肉は基本的に遠くにある停止を起始に引き寄せるので、停止の付着する肢は動きを多く伴います。
こちらは上腕筋を例にあげました。
起始は上腕骨前面下部で停止が前腕の肘に近いところです。
上腕筋は停止の付着する前腕を起始の上腕に近づけるように収縮するため肘が曲がります。
そして体の肢節の動きは下の図のようにてこで考えることができます。
3種類のてこ
てこは3種類あり、それぞれ特徴があります。
- 第1のてこ 安定性
- 第2のてこ 力に有利
- 第3のてこ 速さに有利
第1のてこは支点が作用点と力点の間にある形で、その特徴は安定性です。
シーソーを思い浮かべると想像しやすいでしょう。
第2のてこは作用点(荷重点)が支点と力点の間にある形で、その特徴は力の有利性です。
農業や鉱山で使われる一輪車の手押し車や棒をてこにしておおきな岩を動かしたりするときによく使われます。
第3のてこは力点が支点と作用点の間にある形で、その特徴は速さの有利性です。
力に対しては不利であるが、素早い動きをするのに長けています。
スコップで土を掘るときやピンセットで物をつまむときに使われます。
そしてこれらのてこの考え方は人体においても置き換えられます。
第1のてこ
頭部を中間位に保つとき
<支点> 環椎後頭関節
<力点> 頭部伸筋群
<荷重点> 頭部全体の荷重
こちらは頭を支える首の関節(環椎後頭関節)です。
頭をまっすぐと自然にしているとき、この関節では頭部の重心が支点に対して前方にあるので前へ落ちようとしています。それを後ろの筋肉が常に支えることで中間位に保っています。
このほかにも立脚に必要な股関節や腕立て伏せの時に肘を伸ばす上腕三頭筋も第1てこで安定性に優れています。
第2のてこ
つま先立ちをしたとき
<支点> 中足指節関節部
<力点> アキレス腱付着部
<荷重点> 身体重心通過点
こちらは足指の根本にある関節(中足趾節関節)です。
つま先のほうに支点があり、かかとに付着した下腿三頭筋が踵を持ち上げます。その間を体の重心が通ります。
重さのある体を足の筋肉だけで持ち上げるには大きな力が必要となるため、この構造は理想的ですね。
他には肘を中間位(親指が上を向いた状態)で曲げる腕橈骨筋もあります。
第3のてこ
肘を曲げるとき
<支点> 肘関節
<力点> 上腕二頭筋付着部
<荷重点> 前腕(重心部)
こちらは上腕二頭筋と肘の関節です。
肘関節を支点とし、その先にある上腕二頭筋の付着部を力点、前腕の重さの中心が作用点となります。
原始時代に腕は物を投げたりするときに素早い動きが必要となりました。
なのでこのような速さに適した構造になったのではないかと思います。
体の大部分がこの第3のてこに当てはまっています。
先ほど記述した通り原始時代のときから肉食動物と戦ったり逃げたりするときに素早い動きが必要となるためだからといわれています。
このように体の筋肉は理想的な配置をしていて最大限の効用を発揮しています。
そのように自然に進化してきたとは……。
人体はとても神秘的ですよね!
まとめ
今回は人体に存在するてこについて話してきました。
いかがでしょうか、うまくイメージすることはできましたか?
筋肉にも種類があって安定性に優れたものや力に有利なもの、速さに有利なものなど向き不向きがあります。
それぞれのてこを使い分けることによって原始時代から今まで自然を生き延びてきたのです。
てこを理解することで筋肉のイメージもより具体的なものになると思うのでぜひ考えながら筋トレしてみてください!
参考資料
飯島治之、盆子原秀三(2015)筋学ハンドブック.医歯薬出版株式会社
中村隆一、斎藤 宏、長崎 浩(2017)基礎運動学 第6版 補訂.医歯薬出版株式会社
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